中小企業の人材不足の問題
中小企業が慢性的に抱える問題として、人材の不足が最大の問題として挙げられています。少子化から始まり、若くて優秀な人材は、福利厚生が充実し、給与面、待遇面でも手厚い大企業に流れていくので、中小企業は人材不足にいつも困っています。
解決手段として、シルバー人材、女性の人材としての活用、障害者雇用、機械化、オートメーション化があげられますが、今、最も注目を浴びているのは、外国人材の有効活用でしょう。
外国人材の活用方法
特定技能外国人の活用
外国人材の有効的な人材活用の方法の一つに特定技能という方法があります。この制度は日本語が生活レベル程度話せて、ある程度専門性のある知識を持った外国人材を、5年以上雇うことができます。さらに、優秀な試験、特定技能評価試験2号に受かれば永住権を得ることもできます。
通常、この制度を利用するためには、以下の点に注意が必要です:
- 外国人が差別されていないか、法的な要件は満たされているかなどを審査される
- 法的書類等の作成及び許可申請、および届出を必要とする
- 外国人の日本での就労や生活を支援するため、登録支援機関に委託する必要がある
その際、以下のような費用が発生します:
- 登録支援料(金額は登録支援機関によって異なる)
- 採用に際しての紹介料や教育費用
- 申請書類作成費用
- 渡航費、国内移動費等の初期費用
技能実習生の活用
25年前からある外国人材の活用手段として、技能実習生制度があります。発展が遅れている諸外国から、技能を習得するために、技能実習生として、日本の企業に実質的に就労します。ただし技能実習計画に沿った就労内容であることを、第三者機関である監理団体(通常は中小企業協同組合)に客観的に監理される必要があります。
制度の特徴:
- 受け入れ可能職種は、3年以上いられる職種(技能実習2号への移行対象職種)で、現在144種類あり、かなり幅広い
- 技能実習1号(1年間のみ)から2号(2年間)になる要件として、技能評価試験に合格する必要がある
費用面:
- 監理団体への監理費が発生する
- 海外の送り出し機関とも協定する必要があり、海外送り出し機関にも監理費が発生する
- 特定技能と同様に導入に際して、初期費用も発生する場合が多い
外国人材活用が大人気な理由
外国人材はなぜ日本で働くのか?
そもそも外国人材は、どうしてわざわざ日本に働きに来るのでしょうか。
- 日本文化に興味がある?
- 日本がとても親切で綺麗な国だから?
- 日本の働き方を学びたいから?
もちろん、それらも大きな理由として挙げられるでしょう。しかし、それよりも実は大きな理由が外国人材のホンネとして存在します。
賃金格差の影響
『賃金格差』この単語を聞いたことはあるでしょうか?例えば、今、どんなに働いても月10,000円しかもらえない国も世界にはたくさんあります。
具体例:
- 海外で月30,000円もらっていた人が日本で180,000円もらうと、約6倍の賃金格差がある
- これは日本人が20万円もらっていた場合、ニューヨークで120万円もらえるようなものである
- さらに物価差が4倍あれば、6×4=24、つまり24倍の価値となる
- 20万円×24=480万円相当の価値を毎月稼ぐことができる計算になる
企業にとっての外国人材活用のメリット
以上のことを踏まえた場合、導入や維持に費用を要し、さまざまな法的な縛りがあるにも関わらず、企業にとって外国人材の活用が大人気な理由が見えてきます。以下に代表的な人気の理由をあげます:
- 若くて吸収力の高い、優秀な人材が集まる。特に賃金格差が激しい場合、レバレッジが効く
- 日本人では、職業紹介業や求人誌にいくらお金をかけても集まらず、来ても早期離職する場合が多いが、外国人材の場合、確実に面接(通常2倍から3倍面接)に来て、通常数年は離職しない
- 派遣よりもコスト面で遥かに安い
- 賃金格差のため、一般的に敬遠される残業も積極的に行う傾向がある
- モチベーションが高く、職場が活気づく
外国人材の利点を熟知して、ビジネスに有利な展開をしていくことが重要です。